吸入剤・点鼻剤の送達量均一性試験装置 DDU Testing System
- 概要
各国の薬局方に準拠した吸入剤・点鼻剤の送達量均一性試験装置です。吸入剤や点鼻剤から患者さんに投与される薬物量が均一であることを確認する試験を実施できます。
経口吸入・経鼻製剤(OINDP)の投与量の均一性、すなわち送達量均一性(DDU: Delivered Dose Uniformity)は、装置内および装置間で保証されなければなりません。様々な規制当局により、多くの試験が定義されていますが、それらの試験は、次の項目をデモンストレーションするように定義しています。
- バッチ間の薬物量の均一性
- 1デバイスの寿命全体での投与量均一性
- 噴霧可能回数(ラベル表示以上)
- ドライパウダー吸入器(DPI)の場合、患者集団に固有の多様な流量
吸入・点鼻デバイスによって試験システムの組み合わせが異なります。
サンプル導入 | 捕集 | コントロール | コントロール&吸引 | 吸引 | |||||||
DDU試験装置
/ 吸入・点鼻 |
マウスピースアダプタ / ノーズピースアダプタ |
流量計(DFM) +アダプタ |
捕集チューブ(DUSA) +排気ショットコレクタ(WSC) ●:MDI用 ◎:DPI用 ◇:点鼻スプレー用 |
フィルタホルダ&アダプタ | 気流コントローラ BAC |
臨界気流コントローラ TPK |
Vertus Plus | ブレスシミュレータ BRS |
BRS用アダプタ | ポンプ | 高容量ポンプ |
MDI | 〇 | 〇 | ● | 〇 | 〇 | ||||||
吸入補助具付きMDI | 〇 | 〇 | 〇 | ||||||||
DPI | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 | ||||||
ネブライザー | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |||||||
吸入液滴剤(ADIs) | 〇 | 〇 | ● | 〇 | 〇 | ||||||
点鼻スプレー | 〇 | ◇ | 〇 | ||||||||
点鼻エアロゾル | 〇 | 〇 | ● | 〇 | 〇 | ||||||
点鼻粉末剤 | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 〇 |
- MDI: 吸入エアゾール剤
- MDI with a Spacers/VHC: 吸入補助具付き吸入エアゾール剤
- DPI: 吸入粉末剤
- Nebulizer: ネブライザー
- ADIs: 吸入液滴剤
- Nasal Sprays: 点鼻スプレー
- Nasal Aerosols: 点鼻エアロゾル
- Nasal Powders: 点鼻粉末剤
MDI(吸入エアゾール剤) のDDU試験システム
吸入エアゾール剤(MDI)エアロゾルは、エアロゾル化および噴霧が、患者さんの吸気の力ではなく、デバイス自身の噴霧力に依存するため、吸入流量の変化に対して比較的関係が薄いのが特徴です。従って、MDIの送達量均一性(DDU)試験の場合、試験流量は28.3L/minなどの任意の値に固定されます。真空ポンプは、この流量で組み立てられた試験セットアップを通して空気を吸引するために使用されます。
ただし、MDIがスペーサーやバルブ付き保持チャンバー(VHC)などの吸入補助具とともに使用することを想定している場合、これらの試験条件はDDU試験には適用されません。
スペーサーまたはVHC等の吸入補助具を使用するMDIのDDU試験に関する詳細は、MDI with a Spacer/VHCをご参照ください。
MDI with a Spacers/VHC(吸入補助具付き吸入エアゾール剤) のDDU試験システム
スペーサー、VHC、逆VHCなどの吸入補助具は、作動から吸入の間の調整の必要性を低減・排除するために、MDIと一緒に広く使用されています。患者さんが吸入補助具なしで MDI を使用する場合は、噴霧される薬物粒子は、製剤がエアロゾル化されるとほぼ同時に吸入されますが、吸入補助具を使用する場合、患者さんはリザーバー内でエアロゾル化した薬剤を吸入することになります。このリザーバーによって生じるデッドボリュームは、エアロゾルの分散を可能にしますが、一方でチャンバー内部で粒子が衝突、沈降、静電沈着の可能性があり、これらはすべて送達用量を変化させる要因となります。
吸入補助具の使用が広まるにつれ、規制当局ではこの場合の試験の必要性をより認識するようになってきています。
吸入補助具付きでMDIを使用している場合に吸入可能な薬剤の量は、患者さん本人の吸入プロファイルに直接的に影響を受けるので、吸入パターンとして、特定の呼吸プロファイルを適用することが求められます。そのために、呼吸シミュレーター(BRS: Breath Simulator)で呼吸を再現することを推奨します。
DPI(吸入粉末剤) のDDU試験システム
DPIの場合、エアロゾル化が患者さんの1回の吸入の強度と呼吸の持続時間に依存するため、DDU試験の方法はMDIの場合よりも複雑です。
一般的に、成人が1回深い吸入する時、吸入デバイスに約4kPaの圧力降下を引き起こします。吸入デバイスの抵抗に応じて、この圧力降下を生じさせる吸入流量は異なり、この流量がそのDPIデバイスのすべての試験で採用されます。
DPIのDDU試験の基本構成は、MDIテストの場合と同じく、DUSA、マウスピースアダプター、真空ポンプ、および流量計です。ただし、デバイスでの圧力降下を測定し、テスト中の流れの状態を制御するための臨界気流コントローラー(TPK)が必要です。ほとんどのDPIデバイスには、薬剤のエアロゾル化と送達を促す機能はなく、患者さんの吸気に依存する受動的な呼気作動装置であるため、これは必須です。 DPIは、デバイスの種類によって流動抵抗の程度が異なるために、その試験方法はさらに複雑になります。その結果、場合によっては、条件を満たす吸引流量を達成するために、他の吸入器の場合を大きく上回る流量が必要となる場合もあります。
Nebulizer(ネブライザー) のDDU試験システム
ネブライザーのDDU試験は、1回の吸入ではなく、連続した自然呼吸により、使用中に患者さんが受け取ると予想される薬剤の総量を測定することが目的です。
このようなネブライザーの吸入剤としての特長を考慮して、特定の患者さんの呼吸プロファイルがこの試験のために指定されています。呼吸シミュレーター(BRS)を使用することで、USP/EPで指定されたプロファイルを精確に再現できます。
ADIs(吸入液滴剤) のDDU試験システム
ADI(Aqueous Droplet Inhaler)は液滴を噴霧するデバイスですが、MDIと同じアクティブデバイスに分類されるので、DDU試験はMDIと同様に、28.3L/minの一定流量で実施します。
ADIのDDU試験におけるサンプリング手順と受け入れ基準は、関係する規制当局によって異なります。
Nasal Sprays(点鼻スプレー) のDDU試験システム
規制当局のガイダンスによれば、点鼻スプレーのDDU試験では、試験ユニットは、作動力、流量、休止時間などの重要な機械的作動パラメータを適切に制御した上で、垂直または垂直に近いバルブアップの状態で作動させるべきとされています。
点鼻スプレーの DDU 試験のサンプリング手順及び受入基準は、各規制当局により異なります。
点鼻スプレーのDDU 半自動化試験システムのセットアップ
ほとんどの点鼻薬に対応するVertus システムでは、完全に条件コントロールした試験が可能です。
– 噴霧前の振とうの速度、角度、時間
– 押す力と速度、その力の解放
– 振とう後から噴霧させるまでの時間
NSDC: Nasal Sprays Dose Collector
NSDCは、点鼻スプレーの手動DDUサンプリング用に設計されたコンパクトな薬物回収装置です。迅速で手間をかけずにDDU試験が可能です。
Nasal Aerosols(点鼻エアロゾル) のDDU試験システム
点鼻エアロゾルのDDU試験は、MDIと同様の方法で行われます。どちらも定量バルブシステムの作動により、特定量の有効成分を噴霧するアクティブデバイスであるためです。試験は通常、28.3L/minの固定流量で吸入し、MDI用DUSAに回収されます。
Nasal Powders(点鼻粉末剤) のDDU試験システム
点鼻粉末剤のDDU試験システムの最低要件はDPIと同じです。DUSA、ノーズピースアダプター、真空ポンプ、流量計、さらに装置全体の圧力損失を測定し試験中の流量条件を制御する装置(臨界気流コントローラー)を含みます。