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フェログラフィーと摩耗粒子分析

機械設備に注油されている潤滑油の粒子分析には様々な方法がありますが、その中で定量フェログラフィーは短時間で簡単な測定手法です。

定量フェログラフィーは、潤滑油中の鉄粉濃度の傾向を分析する為の装置で、結果は大径粒子濃度(DL)及び小径粒子濃度(DS)という形で表示されます。具体的にはDLでは5ミクロン以上、DSでは5ミクロン未満の粒子が対象です。DL及びDSの値を合わせて摩耗粒子濃度(WPC:Wear Particle Concentration)を計算します。
前述のように、定量フェログラフィーは傾向を分析する為の手法であるため、たった1度の測定ではなく、経時的に測定を行った結果の傾向を読み取ることが重要です。経時変化を観察し、得られた測定結果が急増する現象が見られた場合、機械設備内で通常時以上に摩耗を引き起こす何らかの問題が起こっている事が想定されます。

こうした現象を捉え、機械設備の損傷を極めて早い段階から予知し、生産やメンテナンスのスケジュールを見直す事は機械設備の重大な損傷の防止に結びつきます。

この他、潤滑油中の粒子分析には次のような方法もあります。

パーティクルカウント

粒子の計数や粒径分布を分析する手法です。潤滑油中の鉄粉粒子だけでなく、非金属粒子や気泡、繊維といった摩耗起因でない粒子も分析できます。測定原理に応じてレーザー式、遮光式、画像式などの装置があります。Lasernet
弊社では、画像解析式パーティクルアナライザーLaserNet200シリーズを取り扱っております。

発光分光分析

潤滑油中に含まれる元素の濃度を分析する手法です。元素にエネルギーを与えると、元素に応じて固有の波長の光を発せられます。各波長の光の強度から元素の濃度を算出します。
弊社では、回転ディスク電極式発光分光元素分析装置Spectroil 100シリーズを取り扱っています。

分析フェログラフィー

潤滑油中に含まれる粒子をフェログラムと呼ばれる特殊なガラススライド上に固定化し、粒子を顕微鏡により目視で分析する手法です。粒子のサイズのみならず、形状、色、形状や粒子の組成を確認できます。

FM6
弊社ではフェログラムを作成する分析フェログラフィー装置FM-6を取り扱っています。

これらの潤滑油中の粒子分析手法を組み合わせる事で、組成、性質といった摩耗粒子の全体像の把握することができ、ひいては摩耗原因の早期発見に繋がります。