GMW14872 (ゼネラルモーターズ)複合サイクル試験
最新の自動車複合サイクル試験規格では従来の試験規格とは異なったサイクルが組まれ始めてきています。従来の複合サイクル試験では除湿機能や噴霧塔に切り替える技術が無かったために屋外との相関性や試験機においての再現性が低い傾向になりました。現代において、主に海外の自動車メーカーでは精確な湿度コントロールの要求で屋外との相関性を高めて、また塩水噴霧ではなくシャワーを用いることで腐食加速度をコントロール出来るように試験サイクルを策定しています。
GMW 14872試験規格でも相関性や再現性を高めるような試験サイクルで組まれています。 この試験サイクルでは屋外でサンプルが曝されるような現実的な温湿度条件が設定されており、尚且つ塩水噴霧よりも腐食加速性があると知られているシャワーサイクルをも設定しています。また、試験機が正常に動くことを検証するために腐食クーポン(腐食試験片)を試験中に使うことが規格化されています。この試験サイクルでは27分の大気環境設定から始まり、3分のシャワーサイクル、90分の大気環境のサイクルを4回繰り返して腐食を加速させます。その後に複数の温湿度設定で構成される複合サイクルを実施します。温度設定は室温に近い低温な環境から腐食を加速化させる高温な環境まで幅広いレンジで試験機が対応できることが必要条件です。1サイクルでトータル24時間の試験になっています。
Q-Lab社取扱いのQ-FOG CRHではこの試験規格に適合した試験ができます。
複合サイクル試験機Q-FOG CRHモデル
試験槽の右隣に取り付けられたエアプレコンディショナーは除湿機能と精確な温度制御ができるようになっています。精確な湿度コントロールは屋外で起こるサンプルの劣化を精確に再現します。
本規格で特徴的なシャワーサイクルはQ-FOG槽内のシャワーノズルから噴射されます。Q-FOGのFRP設計のノズルは耐腐食性が非常に高く、自動洗浄機能もついているため安心して試験を続けることができます。
Q-Lab社では実際に採取キットを槽内に敷き詰め、均一性が最も高くなるような設計にしております。GM社の試験規格で要求されているシャワー噴霧量の測定は付属の採取量キットで対応可能で、要求されている槽内全体平均採取量0.75 – 1.5[mL/h]クリアしております。
GM社の試験規格で要求されているシャワー噴霧量の測定は付属の採取量キットで対応可能です。チャンバーがフラットな構造のため様々な箇所で測定することができます。
試験機が精確な試験をしているかどうか確認するために標準腐食試験片(コロージョンクーポン)が用いられることがあります。コロージョンクーポンマスロス量測定することで、試験機内でしっかりと腐食促進されたかどうか確認することができるようになります。マスロスとは腐食による重量減少を測定して試験機の再現性を確かめる方法です。より確実な試験結果につながる証拠の1つになるため、GMW14872この手法を規格化しています。標準腐食試験片の設置方法も規格化しており、専用の台も販売しております。
GMW 14872では腐食クーポンのマスロスが試験サイクルごとにターゲットの範囲に入るか、試験中に測定して検証する必要があります。以下の図のように規格ではマスロス量の合格ラインが決まっており、途中でずれそうな場合にはシャワー量を調節してクーポンの腐食加速度を調整する必要があります。また、このターゲット値は試験片のパーツの種類によって分類分けされております。