耐候性とは?
耐候性とは、プラスチックや塗料、繊維、有機素材等の工業製品が太陽光・温度・湿度・雨等の屋外の自然環境に耐 えうる性質であることをいいます。劣化の因子としては、光・熱・水が挙げられます。具体的な影響としては、太陽光による変色や粉化現象(チョーキング)、 温度変化による素材の膨張・伸縮、雨による加水分解・浸食や昼夜の温度差による結露などがあります。耐候性を把握することは、製品の品質や寿命、材料選び の観点から重要な要素といえます。
太陽光の影響
光 は電磁波の一種であり、波長の種類によって物質に与える影響は異なります。波長の短い方がエネルギーは強くなり、波長が長いとエネルギーは低く、物質への 影響は弱くなります。人間の視覚に反応するものは可視光線であり、波長は約400~800nmになります。可視光以外の領域は人の目に見えない性質で、レ ントゲンに使用されるX線や殺菌消毒に使用される紫外線、ヒーターに使用される赤外線などがあります。紫外線は波長の違いによってUVCとUVB、UVA の3種類があります。
このうち、UVCのほとんどは地球を覆っているオゾン層によって吸収されるため、地表には届きません。また、地上に届く紫外線のうち90%以上をUVAが占めており、UVBは残り10%未満に過ぎません。
太陽光の分光分布
耐候性試験において標準の太陽光の分光分布の指標として、CIE(国際照明委員会) Publication # 85 Table 4が使用されています。自然界の昼間の太陽光の分光分布、0.68W/m2@340nmが示されています。
耐候性試験とは?
耐候性とは、プラスチックや塗料、繊維、有機素材等の工業製品が太陽光・温度・湿度、雨等の屋外自然環境に対しての耐久性を指します。主な劣化の因子としては、従来から光・熱・水の3要素が挙げられており、具体的な影響としては、太陽光による変色や粉化現象(チョーキング)、 温度変化による素材の膨張・伸縮、雨による加水分解・浸食や昼夜の温度差による結露からの高温状態での加水分解、酸化などがあります。耐候性を把握することは、製品の品質や寿命、材料選び の観点から非常に重要です。物質の耐候性研究は1900年代初頭、米国にて屋外に設置された南向きの暴露台にサンプルを立て掛けることから始まりました。1908年にはASTM(米国材料試験協会)と塗料メーカーが塗料サンプルを数多く試験し始めました。塗料は建材・看板・車など様々な分野で使われており、アピアランスや製品防御のために強く寄与しています。こうして耐候性試験は頻繁にされるようになり、屋外暴露試験方法として世界的に認知されていきました。
その後、人工的にそのような環境を作り、より速く、現実に近しい(屋外暴露との相関性が高い)試験ができないか研究されていきました。そこで屋外暴露試験で重要視される3要素「光・熱・水」の環境を試験機で再現しようという動きが始まりました。100年以上前には光源として主流であった「カーボンアーク灯」がまずは試験機の光源として採用されました。カーボンアークは今でもフェードメーターやサンシャインカーボンアークとして国内では非常に有名です。しかし、海外ではほとんど廃れており、その理由は光源が太陽光のスペクトルとかけ離れているからです。また、ランプの点灯時間は非常に短くすぐに交換しなければならない点や、カーボンから発生するすすによって試験サンプルや試験担当者が汚れたりすることが理由です。現代では技術の進歩で様々な光源が作れるようになってきています。耐候性試験機においてはキセノンガスが封入されたキセノンランプ式が主流になっており、国内の様々な業界のお客様がキセノン試験機Q-SUN(キセノンウェザーメーター)に切り替えてきています。
太陽光の分光分布と各種光源
キセノン光源は太陽光と相関性の高い分光分布を照射することに用いられ、UV光源は太陽光の中でも特に、紫外領域のみを照射します。
短波長カットの重要性
光化学的劣化は化学結合を壊す光子によって引き起こされます。それぞれの化学結合には反応を起こす充分 なエネルギーを持った臨界波長があります。光の強度には関係なく、その臨界波長より短い波長の光は化学結合を壊すことができますが、それより長い波長の光 は壊すことができません。従って、光源の短波長をカットするしないは、きわめて重要です。例えば、あるポリマーが295nmより短波長の紫外線に対 してのみ反応するなら、それは屋外では決して光化学的劣化を起こしません。しかし、 同じポリマーを2nm以下をカットした光源で曝露した場合、それは劣化を起こします。短波長を発する光源は促進性を高めますが、逆に異常な結果を生じる可 能性があります。
温度・湿度・降雨の影響
水分の影響は、樹脂製品の加水分解や可塑剤の溶出が問題となることがあります。また、樹脂が膨潤することで変形や強度低下などが起こることになりま す。更に、自然界の降雨は高温に熱せられた材料に熱的なストレスとなる急激な温度変化としてヒートショックの影響を与えます。それにより、材料の種類に よっては引張強度が変化することもあるのです。
キセノン 耐候性試験機 Q-SUN(キセノンウェザーメーター)について>>
地域毎に異なるTOW(Time of Wetness)/濡れ時間
アプリケーション、試験実例
UV照射量と温度の関係
下図は、UVA-340ランプを試験片に照射して得られた照射時間と引張強度の関係である。横軸を照射時間、縦軸を引張強度で見ると、照射時間と温度に比例していることがわかる。
退色の傾向
複数の材料に対して同一の放射照度を与えた場合でも、分光感度の違いよって材料毎に退色の傾向が異なることがある。また、含有率の違いによっても退色の傾向は異なる。
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結露の効果
下図の様に、UV照射サイクルのみやUV照射サイクル+ドライサイクルの組み合わせよりも、結露サイクルを加えた試験条件の方が退色の影響は大きくなります。