AAMA2605 屋外暴露試験・腐食試験方法
AAMA(American Architectual Manufacturers Association)とは1936年に設立された窓ガラスサッシ材、カーテンウォール、外装塗装などの屋外に曝されるような建材用塗装アルミニウムの品質保証・要求仕様を定める国際的な非営利団体です。世界的に有名な団体であり、特にAAMA2603, AAMA 2604, AAMA2605試験結果は製品の寿命予測指標になると知られています。米国の建材メーカーではこのAAMA試験結果をもとに20年〜30年もの長寿命の製品保証をしているケースもあります。特に最近改定されたAAMA2605試験結果は耐候性試験のベンチマークになり得るとして非常に有名です。AAMA試験規格では様々な試験片要求事項や試験事項がありますが、このページでは主に耐候性と腐食試験方法について紹介します。
AAMA 2603 試験規格について
AAMA 2603 Voluntary Specification, Performance Requirements and Test Procedures for Pigmented Organic Coatings on Aluminum Extrusions and Panels (with Coil Coating Appendix)は主に屋内用のサンプルが対象の試験規格です。3つの試験規格の中で、求められる耐候性は最も低く試験時間も比較的短いです。試験方法ですがASTM B117の塩水噴霧試験を1500時間、最低でも1年間のフロリダ屋外暴露試験と定められています。
AAMA 2604 試験規格について
AAMA 2604 Voluntary Specification, Performance Requirements and Test Procedures for High Performance Organic Coatings on Aluminum Extrusions and Panels (with Coil Coating Appendix)は主に屋外のサンプルが対象の試験規格です。用途としては店頭などの陰に隠れた部分の外装塗装や、90°で設置される関係で常に太陽光に曝され続けないようなサンプルが挙げられます。3つの試験規格の中で、求められる耐候性の度合いは中間程度に当たります。この規格で合格したサンプルはAAMA 2603ではなかったような測色を含め光沢測定が定められているため、測色・光沢保持率が良いことが多いです。試験方法ですがAAMA 2603と同様にASTM B117の塩水噴霧試験が定められていますが、より厳しい環境で3000時間まで試験要求されています。また、最低でも5年間のフロリダ屋外暴露試験となっており、全体的に高い耐候性が求められます。
AAMA 2605 試験規格について
AAMA 2605 Voluntary Specification, Performance Requirements and Test Procedures for Superior Performing Organic Coatings on Aluminum Extrusions and Panels (with Coil Coating Appendix)は主に屋外のサンプルが対象の試験規格で、この試験に合格したサンプルは傑出した高耐候性があると評価される程、ベンチマークとなる試験規格です。用途としては常に太陽光や降雨に曝されつけるような高層ビルの外装、モニュメントなど大きなプロジェクトベースで建築される建築物・構造物が挙げられます。三つの試験規格の中で、求められる耐候性の度合いは最上級に当たります。この規格で合格したサンプルは測色・光沢保持率に優れ、長期の湿度試験も行うため屋外の湿気・降雨にも強いと評価されています。試験方法ですがAAMA 2603、AAMA 2604と同様にASTM B117の塩水噴霧試験が定められていましたが、改定されております。現在では、世界的に有名なCASS試験方法であるASTM G85 Annex A5 dilute electrolyte cyclic fog/dry test複合サイクル試験が定められています。通常の塩水よりも攻撃的な酸性水溶液で、なおかつ腐食促進性を高めると言われている塩水噴霧と乾燥の複合サイクルで、なお厳しい試験環境が求められています。これは2000時間まで試験要求されており、一方、フロリダ屋外暴露試験では最低でも10年という長期の試験が求められています。
上記のようなAAMAアルミ建材試験はQ-Lab社の複合サイクル試験機Q-FOGと非常に相性の良いアプリケーションです。Q-FOGは米国老舗耐候性試験機メーカーQ-Lab社が製造しており、本場のASTM規格、AAMA規格に標準で対応しています。また、FRP製でできているため試験槽はタフであり、アルミブロックなどの重量物も安心して一度にたくさん試験することができます。
複合サイクル試験機Q-FOG CRHモデル
試験槽の右隣に取り付けられたエアプレコンディショナーは除湿機能と精確な温度制御ができるようになっています。
精確な湿度コントロールは屋外で起こるサンプルの劣化を精確に再現します。
AAMA試験規格2603, 2604で要求されている塩水噴霧試験ASTM B117及びAAMA 2605で要求されているASTM G85 Annex A5 CASS (キャス)試験も可能です。チャンバーがフラットな構造のため自由に試験片を設置することができます。耐荷重500kgまで耐える試験機のためアルミブロック・コンクリートブロック・アルミ建材なども成形品そのまま試験することができます。
フロリダ屋外暴露試験について
Q-Lab社では屋外暴露試験も行っています。特に自動車業界サンプルは高照度、高温のアリゾナサイトで試験されます。
AAMAではフロリダ屋外暴露試験を規格化しており、最大で10年間の試験が求められます。
Q-Lab社は世界最大のフロリダ屋外暴露試験場とアリゾナ屋外暴露試験場を所有しており、様々な業種のユーザー様が毎年数万のサンプルを試験しています。特にフロリダサイトの試験場は世界最大の保有面積を誇り、現在でも土地を拡大しています。
建材品は主に太陽光に対して、垂直方向もしくは角度がついた45°の環境で屋外に曝されているケースが多いです。AAMA試験では直接屋外暴露法 45°設置と規格化されており、光沢・測色の保持率の測定が要求されています。Q-Lab社ではスペシャルプロジェクトとしてAAMA試験用に建物そのままの試験も請け負っております。
太陽光追跡集光暴露試験装置Q-TRAC試験
アリゾナ州Q-Lab試験所における太陽光追跡集光暴露試験装置Q-TRACは、迅速で経済的な上に簡単です。
Q-TRACは、試験所での促進試験に似た非常に迅速な試験結果を提供します。違うのは人工光源の代わりに実際の太陽光を用いる点です。特に長寿命が期待される耐久性の高い材料の試験に非常に有効です。Q-TRACシステムは、10枚並べた反射鏡を使ってフルスペクトル(全波長域)の太陽光を反射させ、それを集光したものを試料に照射します。
また、Q-TRACシステムは日の出から日没まで、方位角(水平位置)と高度(垂直位置)の両方における太陽の位置を自動的にトラッキング(追跡)します。反射鏡とトラッキング機能の組み合わせにより、試料に照射される暴露量を最大限に増加させます。Q-TRAC屋外試験機は水噴霧システムも装備しており、フロリダでの耐候性試験をシミュレートする、あるいは熱変化ショックを起こすといった様々なサイクルの設定が可能です。加えて、夜間の湿潤時間中には試料を上向きにして、もともとのEMMAQUA®製自然太陽光集約型試験に比べて湿り時間を延ばし、より実環境に近似した条件を作り出しています。また、Q-Labでは新たに、より熱に敏感な試料向けに温度制御を加えたQ-TRAC試験の提供を行っています。
建材サンプルは耐候性寿命が非常に長く、試験時間も長時間になりがちです。そのような場合には屋外促進耐候性試験機Q-TRACを使って試験を加速化することもあります。
太陽光追跡集光暴露試験装置Q-Tracは自然界の太陽光を10枚のフレネル反射鏡で集光させて直接サンプルに照射します。この照度は自然界の太陽光の5年分以上を1年で照射します。