腐食劣化 シミュレーション
複合サイクル腐食試験とは
元々腐食試験はより簡単な塩水を噴霧し続ける試験である塩水噴霧試験機が主流でした。この試験方法は1900年代初頭に策定されてから、ASTM B117, JIS Z2371, ISO 9227などで規格化されており、今日でも行われている主流な試験方法のひとつです。この試験方法は非常に簡単であったために全世界に広がっており、今ではもっとも有名な、主に品質管理プロセスでの腐食試験手法として確立されています。ただし、試験機での再現性・繰り返し性は高かったのですが、腐食試験結果が現実で起こる腐食症状とかけ離れているという問題点もありました。
そこで、塩水噴霧サイクルだけではなく、屋外で引き起こるような相対湿度をを高めてサンプルを濡らすサイクルや、温風をかけてサンプルを乾燥させるサイクルが新たに組まれました。複数のサイクルを組むことができ、それは複合的に設定できることから複合サイクル腐食試験と呼ばれるようになりました。この新しい試験方法で、自然の腐食環境を実験室で可能な限り再現できるようになり、その環境下での精確なシミュレーションにつながりました。複合サイクル腐食試験の結果は、屋外環境における構造、形態、相対腐食速度の結果と同様であることが研究によってわかっており、様々な業界においてその品質管理面で複合サイクル試験が求められています。これらは1990年代に試験規格としても策定されており、JASOサイクルとして非常に有名です。その他 JIS H8502, JIS K5600-7-2, ISO11997-1などでも有名です。
そして、現代の最新の複合サイクル試験規格においては、複合的な試験サイクル設定に加えて、塩水噴霧に用いる塩を融雪剤の原料に変えていたり、塩水「噴霧」方法ではなく、より速くサンプルを濡らすことができる液滴の大きい塩水を噴射できるシャワーサイクルなどが規格化されてきております。また、従来では乾燥での高温状態・湿潤状態にて温度が高すぎたり、湿度が高すぎる関係で屋外の腐食結果と相関性が低いことがわかりました。その問題点を改善するために大気環境に近いような20-40℃範囲での精確な調整や、30-60%の精確な湿度調整が求めれるように、海外の自動車OEM規格を中心にシフトしてきています。
屋外との相関性、促進性の高い腐食試験機 Q-FOG
金属材料や塗装被膜を施した製品や部品の耐食性評価には、均一で正確な塩水噴霧(キャス噴霧)と素早い温度調整、湿度調整が求められます。Q-LAB社のQ-FOGはそれらの要求に応え、マイコン制御によるプログラミング機能の搭載や自己診断機能、試験槽の壁に付いたヒーターにより素早い温度変化と素早いサイクル移行を可能とし、各種試験規格に適合した試験を行います。
実際の屋外暴露環境との相関性、促進性の高い腐食試験機として、Q-LAB社のQ-FOGは自動車業界を中心に様々な業界で、世界中の多くの試験室で使われています。
噴霧サイクル
乾燥サイクル
湿潤サイクル
Q-FOGが選ばれる理由
Q-FOGは、試験槽と外部との隔離に特殊樹脂シールの採用しており、優れたメンテナンス性と密閉性を実現しました。また、大容量の溶液タンクを標準で装置に内蔵しており、面倒な補充作業なしに長期間の運転が行えます。溶液の交換も容易で、排水コックを捻るだけです。
メンテナンスキット(消耗品)の販売や故障部品をユーザー様ご自身で作業する交換サポートなど、導入コストとランニングコストをお求め易い価格でご提供。コストパフォーマンスに優れた高性能な腐食試験機をお使いいただけます。