【事例】界面活性剤のアプリケーション
界面活性剤の研究開発とその技術利用のための界面化学測定法
乳化剤、湿潤剤、発泡剤、捕集剤など、界面活性剤には使用される分野に応じて膨大な数の名前があります。界面活性剤は、隣接する相に対する表面張力または界面張力を低下させるため、界面化学の中心となる存在です。
表面張力測定、接触角測定、泡解析における数十年の経験により、KRUSS社は界面活性剤の研究開発に重要な貢献をしています。KRUSS社の装置は、温度、圧力、湿度などの様々な測定条件に対応しており、実際のプロセス条件を再現できます。KRUSS社の装置で、様々なアプリケーションにおける界面活性剤の特性評価が可能となります。
固体表面の濡れを最適化する
- 洗濯やクリーニングための繊維およびその他の表面の濡れ
- 接着剤の濡れ
- 塗装、印刷、コーティングの濡れ
- 電気風呂(Galvanic bath)
プロセスまたは最終製品の品質は、水溶液による固体材料の濡れに依存することがよくあります。しかし、水溶液の表面張力が高いと、濡れの問題に繋がる為、一般的に、界面活性剤を水溶液に添加することで、表面張力が低下させ、濡れの改善を目指します。
KRUSS社の表面張力計は測定条件に応じた測定自動化プログラムにより表面張力を正確に測定することができます。また、同様に接触角計を用いることで、固体の濡れを正確に評価することが可能です。
印刷や接着プロセスの場合、ミリ秒単位の表面張力の変化を評価する必要があります。KRUSS社の動的表面張力計を用いることで、表面寿命(界面形成時間)数ミリ秒からの動的表面張力の測定が可能です。
水相と疎水相の接続
- 洗剤および洗浄剤
- 食品およびボディケア製品のエマルション
- 原油生産または医療における有機相の流動化
- 乳化重合
界面活性剤の洗浄効果は、洗浄対象の表面の濡れの向上や、疎水性物質(油汚れなど)をミセルに取り込むことなどに基づいています。KRUSS社の表面張力計はミセルが発生する臨界ミセル濃度(CMC) の全自動測定が可能です。CMC は界面活性剤の効果の最適化に重要な値であり、CMCに基づいて界面活性剤の添加量が決定されることがあります。
ミルクやクリームなどのエマルションは、相溶しない2つの液体(例:水と油)が一方の層(分散媒)に液滴状の微粒子(分散質)として分散している混合物のことを言います。これらは、乳化剤と呼ばれえる天然または合成の界面活性剤により分散状態が安定化されており、製造過程で混合される液滴のサイズと分離の傾向は界面張力に依存します。
KRUSS社は、様々な用途・分野の界面張力を測定する為に、様々なタイプの界面張力計を提供しています。表面張力計を用いた静的界面張力の評価や、接触角計を用いたペンダントトップ法により動的界面張力の評価も可能です。また、スピニングドロップ式界面張力計により、石油増進回収 (EOR) などで発生する極めて低い界面張力の評価も可能です。
粉体や顔料の分散性向上
- 塗料とワニス
- 色素を含むクリームや化粧品
- コンクリート
- ラテックス
固/液分散系(塗料など)では、粉体表面と液体の親和性が分散度を決定します。ここで、界面活性剤は混合性と分散安定性を向上させるのに役立ちます。
KRUSS社の表面張力計では粉末の濡れに寄与する液体の表面張力の測定だけでなく、液体(分散媒)と粉体(分散質)の親和性(濡れ)を評価する粉体接触角の測定も可能です。また、プローブ試薬(水、ジヨードメタン等)と粉体の接触角を測定することで、粉体自身の濡れ性の指標である表面自由エネルギーの解析も可能です。
噴霧性の向上
- ヘア&ボディケア用スプレー
- 殺虫剤の散布
- クリーニングスプレー
大量の液体が多数の小さな液滴に分散すると、液滴の総表面積が増加します。この場合、液体の表面張力(mJ/m2)が小さいほど、表面積の増加により増加するエネルギーが小さくなる為、加えるエネルギーが少なくすみ、結果的にこれを実現しやすくなります。その為、スプレーには、微細なスプレーミストを得るために界面活性剤が含まれることがよくあります。
また、対象物に対する濡れを良くするために、スプレーの表面張力を低下させることも重要です。
スプレーは非常に動的なプロセスであり、例えば、液滴が対象物に着弾するまでに要する時間はミリ秒単位であると言われています。その為、スプレーの開発と最適化においては、ミリ秒単位の表面張力の変化を評価する必要があります。KRUSS社の動的表面張力計を用いることで、表面寿命(界面形成時間)数ミリ秒からの動的表面張力の測定が可能です。
泡の形成と泡の防止
- 泡の形成: ボディケア、調理用、浮遊選鉱、消火活動
- 泡の防止: 印刷およびコーティング、冷却潤滑剤、液体輸送、工業用洗浄
泡の形成評価の場合、KRUSS社の泡試験機は、起泡性と泡の安定性、泡層の高さ位置における含水量、泡サイズとその分布など様々な評価が可能です。
泡の防止評価の場合、界面活性剤の添加により望ましくない副作用として泡が発生します。このため、低発泡性界面活性剤だけでなく、抑泡剤や消泡剤もよく使用されます。KRUSS社の泡試験機では短時間のスケールであっても、泡の発生から崩壊まで(泡の安定性)の評価が可能です。
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