【事例】樹脂の接着
接触角と表面張力によるプラスチックコーティングの最適化
プラスチックは、表面自由エネルギーが比較的低く、接着、コーティング、印刷など際の接着力が低く、それが問題となる材料です。特に、液体の表面張力が高くなる傾向のある水ベースのコーティング剤でその問題が顕著です。その為、コーティング剤の表面張力を低下させたり、あるいは基材となるプラスチック自体の表面自由エネルギーを増加させることで、問題の改善を試みることがよくあります。KRUSS社の接触角計と表面張力計を用いることで、どちらのプロセスも最適化が可能です。
- 自動車産業やパッケージングなどにおけるプラスチックの接着
- フィルム印刷
- プラスチックの塗装
- マトリックスポリマー中の有機繊維および粉末と複合材料との接着
コーティング剤の表面張力の低下
塗料やワニス、さらには接着剤にも、表面張力を低下させて濡れを改善する界面活性剤が含まれていることがよくあります。KRUSS社の表面張力計により高精度な表面張力測定が可能です。
また、KRUSS社の表面張力計は全自動での臨界ミセル濃度(CMC)測定が可能です。液体はCMCにおいて最も表面張力が低くなり、それ以上界面活性剤を加えても表面張力が低下することはありません。CMCを測定することにより、界面活性剤を過剰に加えることを防ぎ、製造プロセスにおけるコストの削減に繋がります。
迅速なプロセス、例えば、インクジェットインクや塗装用スプレーが対象物に着弾するまでに要する時間はミリ秒単位であると言われています。その為、これらの開発や含まれる最適な界面活性剤の選択、開発には、ミリ秒単位の表面張力の変化を評価する必要があります。KRUSS社の動的表面張力計を用いることで、表面寿命(界面形成時間)数ミリ秒からの動的表面張力の測定が可能です。
プラスチックの表面自由エネルギーの増加
単に濡れが良好なだけでは良好な接着力は得られない場合もあります。その為、多くの場合、前処理(例:プラズマ、コロナ、フレーム処理など)によってプラスチック表面の表面自由エネルギーの増加を目指します。
KRUSS社の接触角計では、複数のプローブ試薬(水、ジヨードメタンなど)を用いて、前処理プロセス前後における、表面自由エネルギーの変化を評価できます。同時に、前処理により、表面にどの程度の極性基が増加したかを示す、表面自由エネルギーの極性比率も算出されます。KRUSS社のハンディ接触計を用いることで、あらゆるサイズのサンプルを切り出さずに、現場で測定することが可能です。処理効果の持続性を確認する為に、繰り返し測定を行うこともあります。
接着性と長期安定性の評価
接着仕事は接着性を評価する為の一つの指標として、樹脂の表面自由エネルギーと液体の表面張力のそれぞれの極性・分散成分を解析することで、算出することが可能です。接着仕事を評価することで、必要な接着強度の最適化に繋がります。解析手順は、コーティング物質に関する規格 DIN 55660 に記載されています。
更に、上記の解析に伴い、同時にコーティングや接着の長期安定性評価の一つの指標である、界面張力を算出できます。界面張力が高い程、樹脂と液体の界面の安定性が低く、例えば、空気中に存在する水分子と樹脂が結びついた方が、界面張力が低下し、界面の安定性が高くなる場合、それが進行し、コーティングや接着剤の剥離に繋がります。
繊維および粉末の測定
繊維強化材料の品質保証や開発などにおいて、繊維や粉末の接触角、表面自由エネルギー、接着仕事の評価が求められることがあります。測定対象の繊維および粉末は、樹脂がコーティングされた材料だけでなく、コーティングされた樹脂である可能性もあります。KRUSS社の表面張力計では繊維や粉末の接触角、表面自由エネルギー、接着仕事の評価が可能です。
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