粒子径・分布・形状評価
粒子径・分布・形状評価
分散評価の最重要項目は分散性評価である粒子径測定です。その粒子群の平均径、分布幅を評価します。粒子径測定法には、様々な原理が存在するため目的に合った装置で粒子径分布評価をすることが重要です。本内容では粒子径の定義や表示方法、測定機の種類、選択のヒントについて示します。
粒子径の定義
粒子径評価をするうえで粒子径の定義を知っておく必要があります。粒子が球ならどこをとっても直径が粒子径です。しかし下図のような針状粒子のような非球形の場合、長さ方向と厚み方向で粒子径は大きく異なります。このような場合、粒子径だけではなくアスペクト比や円形度等粒子の形状情報も重要になります。粒子径を測定する時には、得られる粒子径がどのように定義した粒子径かを理解することが重要です。
ほとんどの粒子径測定機は、ある物理量を測定し換算式を用いて球にしたときの直径を粒子径とします。そのため、ある物理量の測定方法(原理)によって定義径が異なります。例えば、古くからある沈降法では、沈降速度を測定し、沈降速度は粒子径の二乗に比例するというストークスの式を用いて粒子径を算出します。この粒子径はストークス径と定義されます。形はどうであれ、その粒子の沈降速度から球換算したものが粒子径になります。
測定原理
以下はいくつかの測定法の例と定義径(()内)、測定可能な粒子径範囲を示します。定義径が違うということは物差しが異なります。粒子径の分布が広いと原理違いで得られる値が異なることが多いですので注意が必要です。原理により測定できる粒子径範囲が異なることが分かり、それぞれ向き不向きがあります。
粒子径の記載法
粒子径の記載には通常、頻度分布(左)(縦軸が割合、横軸が粒子径μm)と積算分布(右)(縦軸が小さい径からの割合、横軸が粒子径)で表現されます。平均径(mean)は、算術平均からもとめた平均径、標準偏差(standard deviation)は幅の指標です。積算分布のd10(10%割合の径), d50(中位径メジアン),d90(90%の径) 黄色の線の部分がd50です。モード径は最頻度の径(頻度で最も高いピークの径)を意味します。ピークの径の確認は頻度分布、割合における粒子径の確認は積算分布が便利です。分布の表現で、頻度分布でピークが一つで図のような狭い分布幅のものを単分散、より幅広い分布は多分散、何ピークかある場合2峰と3峰、、、と表現します。より詳しくはJIS Z 8819-11もご参照下さい。
分布表示の割合を計算するために体積基準(重量基準)や個数基準があります。体積基準がよく使用され、体積をもとに割合を決定します。1個、1個カウントするような装置は数平均、光を使用する装置では光強度基準で示すこともあります。数平均は体積基準より小さい粒子径に重みづけされ。光強度基準は大粒子に重みづけされるため、分布に幅があると基準で同じ測定結果でも、基準で違う分布になります。
粒子径測定装置の選定ヒント
様々な原理があり、計りたい試料の粒子径範囲の原理を選ぶことがまず重要です。例えばサブミクロンから100μm程度でしたらレーザー回折・散乱がまず挙がります。粒子径範囲の他、使い勝手、価格も選定要因に挙がります。さらに、それぞれ特徴があるため、より測定目的に合った方法を考慮にいれることは重要です。ナノ粒子で単分散、比較的高濃度試料も評価したいなら動的光散乱は簡便で便利です。多分散の粒子径分布を正確に評価したい、凝集粒子を精度よく評価したい場合などが目的な場合はフィッティング法ではない原理が向いております。例えばNTA法、遠心法、電気検知帯法、動的画像解析法が挙げられます。
弊社では、様々な粒子径範囲、目的に応じた粒子径分布測定装置を取り扱っております。
形状評価
動的画像解析式は流れている粒子をカメラで連続的に撮影し粒子径に換算するものです。粒子を1個1個測定するため高分解能な測定ができます。さらに、他の粒子径測定法とは異なり、一番長い径で粒子径表示ができたり、長軸と短軸の比などの形状を数値化することができます。形状で粒子を抽出したい場合などに最適です。
モニタリング、密閉系評価
バッチ式ではない方法もあります。反応器からサンプルを取り出したくない場合やプロセスの中で評価したいニーズに対応しております。弊社にはナノ粒子対応のリモートDLS法、プローブ画像式の装置がございます。
濃厚分散系の評価
多くの粒子径測定機は希薄系です。そのため希釈して装置の適正な濃度にして測定することがほとんどです。しかし、安易な希釈により、粒子径分布が原液(濃厚)状態と変わってしまう場合もございます。そのようなことが懸念される場合に濃厚対応の装置が有効です。