製品情報

キャス(CASS)試験機 Q-FOG CCT

キャス(CASS)試験機
Q-FOG CCT

キャス試験機の世界標準モデルQ-FOG CCTが新しくなりました。金属塗装、めっき、ねじ、自動車関連試験では一般的に塩水噴霧、高湿潤、低湿潤、乾燥等を含んだ繰返し試験が行われています。これらのテスト法は、それぞれ各社独自に開発されました。キャス試験機Q-FOG はこれ一台で自動的にこれら各種のサイクル試験がすべて行えるよう設計されています。

  • 概要
  • 特徴
  • 仕様
  • 導入事例事例

新しくなったキャス(CASS)試験機の世界標準機 Q-FOG  CCT

Q-FOG CCTは、世界で広く採用されているキャス試験機です。塩水噴霧、乾燥、暗黒の3種類のサイクル試験を行うことができ、金属材料や塗装被膜を施した製品や部品の耐食性を試験することに使用されます。Q-FOGシリーズは、自動車業界や船舶業界において国内外で広く使われています。

1.  簡単操作。日本語対応タッチパネルコントロール

世界で最も使用されている腐食試験機の一つであるQ-FOG CCTがシンプルでさらに使いやすくなりました。日本語対応のタッチパネル式コントロールパネルにより、試験プログラムの設定やトラブルシューティングがシンプルで簡単になりました。日本語を含めた17言語に対応しており、デュアルディスプレイを搭載しています。試験は常にモニタリングされており、ディスプレイから試験状況・進捗が一目で分かります。また、ステータス確認用のLEDランプ搭載により遠くからでも、状況(運転中、停止中、試験完了など)が判別できます。

2. ISO 9227 キャス試験規格対応ワールドセラーモデル

金属部品の腐食検査などで広く知られているISO 9227 Corrosion tests in artificial atmospheres — Salt spray testsに標準対応した試験機です。国内含め世界中の金属部品はQ-FOG で腐食試験されています。

3. テストパネル240枚搭載可能大容量チャンバー

Q-FOG SSPモデルは大容積チャンバー設計になっています。大量の試験片もこの試験機一台ですべて積載し、試験することができます。

4. 耐荷重量驚きの544kgで成形物試験を実現

航空部品の中にはサイズが大きく、重量が重いサンプルもあります。Q-FOGは大容量のためサンプルは成形品をカットすることなく、そのまま試験可能であり重量物に対応するアクセサリもご用意しています。

Q-FOG Gen 4 CAS SST front

 

海外自動車業界・EV対応で必要な最新の試験サイクル、シャワー(スプレー)サイクルはQ-FOG CRHモデルになります。

Q-Lab社とは?

1956年創業の耐候性試験機、腐食試験機の世界的メーカーです。紫外線蛍光管式耐候性試験機QUVは世界市場シェアトップの耐候性試験機として有名です。フロリダには世界最大の屋外曝露場を保有しており、機器製造のみならず試験サービスやコンサルティングサービスを行っております。Q-Lab本社は米国オハイオ州クリーブランドにあり、英国のマンチェスター、ドイツのザールブリュッケン、上海にも販売・流通拠点を構えております。

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  • 特徴

キャス(CASS)試験とは?

どのような金属製品でも屋外に曝されると大気と反応し、化学反応が促進されていきます。すると表面がさびてきたり空間ができたりして、最悪の場合製品としての役割を果たさなくなってしまいます。キャス試験機ではこのようなことがないよう、試験機でサンプルに酸性溶液を噴霧し続け、腐食を促進させるシミュレーションをし品質管理に役立っております。腐食試験の中でも塩水を噴霧し続けるという塩水噴霧試験方法が主流です。この試験方法は1900年代初頭に策定されてから、ASTM B117, JIS Z2371, ISO 9227などで規格化されており、今日でも行われている主流な試験方法のひとつです。この試験方法は非常に簡単であったために全世界に広がっており、今ではもっとも有名な、主に品質管理プロセスでの腐食試験手法として確立されています。また、英国で考案されたProhesion試験で有名な、噴霧後にサンプルを乾燥させるというサイクル試験もQ-FOGでは対応可能です。一度乾かした状態でもう一度塩水を当てることでより促進性を高めているような試験方法です。

さらに、腐食加速度を求めた結果塩水を中性から酸性のものを採用している試験方法も存在します。この代表的な酸性溶液は、ISO 9227で規格化されている関係でCuCl2⋅2H2Oが採用されることが非常に多く、Copper-Accelerated Acetic Acid-Salt Sprayの頭文字をとってキャス(CASS)試験として広く知られています。通常の5%塩水に塩化銅を加え、また酢酸を加えて酸性溶液に調整されたものが使われます。その他にもASTM G85に記載のあるような酸性溶液である硫酸アンモニウムでの試験を指すこともあります。溶液の強酸性という特徴を用いて、サンプルの酸化を早め、腐食加速度を高めることを狙って策定されました。

ただし、試験機での再現性・繰り返し性は高かったのですが、腐食試験結果が現実で起こる腐食症状とかけ離れているというケースもサンプルによっては見受けられ、そこで複合サイクル試験機が発明されました。

キャス試験機 試験サイクルについて

塩水噴霧サイクル

塩水噴霧試験サイクルでは、チャンバー内に腐食性塩水ミストを均一に噴霧することが出来ます。スプレーポンプによって、溶液リザーバーから噴霧溶液がアトマイザースプレーノズルに送られます。Q-FOGの噴霧ノズルはFRPでできており、手で簡単に取り外すことができます。清掃も純水があればユーザー様で問題なく行うことができます。定期的に清掃していればつまりが発生することはなく、エンジニアの派遣も不要です。JIS Z2371, ASTM B117, ISO 9227などに適合している試験方法です。

噴霧

乾燥サイクル

乾燥試験サイクルでは置換ブロワーが作動し、外気(設置室内空気)が導入されます。設定されるチャンバー温度が、設置室温より高い場合は、エアーヒーターが作動し、導入空気はエアーヒーターを通過してチャンバーに導入されます。チャンバー内の温度は、チャンバーヒーターとエアーヒーターの両方によって設定値に維持されます。

乾燥

キャス試験

キャス

キャス試験は通常の塩化ナトリウム溶液を塩水として使わずに、より金属を腐食させるであろう強い酸性溶液を噴霧させる試験です。Q-FOGはこのキャス試験にも対応しています。槽内は腐食に強いFRPでできているため、酢酸はもちろんですが、塩酸、硝酸、硫酸などの酸性溶液・アルカリ性溶液にもそのままの仕様で対応しています。キャス試験(CASS)はJIS H8502, ASTM B368, ISO 9227, ASTM G85などで規格化されていることで有名で、Q-FOGはこれら規格に適合している試験機です。

直観的でシンプルな使い方

簡単で使い勝手の良いデュアルタッチパネルディスプレイ

 デュアルディスプレイにて運転状況の確認、試験時間や試験温度、試験湿度の制御が行えます。操作もタッチパネルでありシンプルで分かり易く、試験条件の変更や選択を簡便、速やかに行うことができ、使い勝手のよい機器操作を可能としました。さらに、このデュアルディスプレイには、自己診断機能や故障時のエラー内容の表示、定期的なメンテネンス時期の案内、セーフティーシャットダウンなどの機能が含まれております。
Gen 4 Screen_Zoom

1箇所に集約されたメンテナンスエリア

主要な機器類は装置の側面パネル内の1箇所に集約されています。定期的、または突発的なメンテナンス時は、側面パネル1枚を取り外すことで、飽和器やその他主要部品のメンテナンスエリアに簡単にアクセスすることができます。中身は非常にシンプルで視認性の高い設計となっており、バブルタワーやヒーターなどほとんどすべての内蔵パーツが目視で確認することができます。写真つきのマニュアルがついてくるため、ユーザー様でも安心してパーツ交換をすることができます。

操作

1噴霧

Q-FOG CRHモデルは塩水噴霧口には2方向から塩水溶液と圧縮空気が来ており、噴霧口でぶつけることで噴霧を発生させています。噴霧等タイプのものは噴霧箇所が細いガラスでできており、塩が固形化した際に清掃しにくく、最悪の場合エンジニア派遣が必要になります。一方、Q-FOG CRHモデルは噴霧口はFRPでできており、反時計方向に回すだけで簡単に取り外せるようになっています。取り外して定期的な清掃をするだけで詰まりの故障は発生せず、万が一詰まったとしても清掃するだけですぐに再稼働させることができます。

コロージョンクーポン(標準腐食試験片)

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Q-Lab社は創業以来標準試験片の製造販売を続けているという試験機メーカーとは別の顔をもっています。世界的なブランドQ-PANELとして50年以上の歴史を持つ非常に有名なものです。腐食試験片は一貫した均一な表面により、試験における再現性と繰り返し性を確実なものとします。試験進行中の試験片の重量変化を確認することで、試験状況のチェックの手助けになります。

試験規格:GMW14872, GM9540P, SAE J2334, SAE J2721, ASTM B117, ISO 9227, and VDA-233-102.などで規格化されているコロージョンクーポンを取り扱っています。

標準試験片はこちら

塩水噴霧試験用 塩キット

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Q-Lab社では塩水噴霧試験用の塩も販売しています。530gの塩(NaCl)が一つ一つパックになっており、塩水噴霧試験、複合サイクル試験で使用する塩水作製が、計量など必要なくより便利かつ簡単に行えます。

塩キットはこちら

  • 仕様

Q-FOGは、塩水噴霧試験やProhesion試験、湿潤試験を含む数多くの促進腐食試験を行うことが出来る試験機です。ASTM、ISO、MIL、GM、BS、DEF、NFX、DIN、VG、JASO、JIS、SAE、BMWなど、数多くの国際規格や国内規格、工業規格に適合した促進性の高い試験を行えます。

対応試験規格はこちら

モデル・仕様

Q-FOG 仕様1Q-FOG 仕様2

 

  • 導入事例

導入事例について

昨今、国際的に環境規制などが強まっており、従来の自動車から電気自動車(EV)への切り替えに向けて世界が動いています。その中で試験要求は更に強まっており、カーメーカーのみならずTier1、 Tier2などの自動車部品メーカーなども新しい試験に対応することが求められてきております。このような情勢で、ある顧客メーカー様は新規でキャス試験要求に応える必要がありました。その試験は従来からお使いであったの国産の複合サイクル試験機では対応できず、新規ご導入を検討されておりQ-FOGモデルも候補のひとつとして挙がりました。

Gomel, Belarus - February 21, 2017: Car Renault - Logan in the winter forest with headlights

顧客様が対応しなければならない試験条件は2つありました

  1. 試験片を酸性溶液で濡らす
  2. 試験サンプルはサイズが大きく重量があり、試験体数が多いため、大型で耐荷重のあるチャンバー

Q-FOG モデルは上記すべてクリアしているような装置です。また、試験機の設定条件も柔軟であることから、問い合わせのあったキャス試験規格はもちろん、その他の試験規格に対応できるように温度設定も柔軟であったこともキーポイントになりました。特にキャス試験で有名なISO9227で定められている標準腐食試験片もメーカーにて製造販売しているため好評価でした。このような試験片はその質量減量(マスロス)を確認することが求められており、適正なものであるか経時変化を試験自体の確かさをデータ化することができます。この試験片は世界中の腐食試験をされているメーカー様が使っており、信頼性の高いものであることから評価頂きました。

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最後に重量物対応についてですが、Q-FOGは標準仕様で数十万円のアクセサリを加えるだけで荷重500kgまで耐えることができるため、この条件もクリアしました。

多種多様な試験規格への適合性・高いコストメリット

最終的に試験条件をクリアしていたことはもちろんですが、ほとんどの海外規格に1台で適合するその網羅性・柔軟性、国内改造品と比較した際のコスト差・納期の速さでQ-FOG をご選択頂けることになりました。また、当初は1台のみの御導入予定でしたが、高いコストメリットや対応試験規格が数多いことをご理解頂き、他の国内向けの試験条件用としてもう1台増設頂ける形になりました。

 

 

技術情報 Technical information
  • ASTM D7869 耐候性試験規格
  • Renault ECC1 (ルノー)複合サイクル試験
  • Ford CETP 00.00-L-467 (フォード) 複合サイクル試験
  • Volkswagen PV1210(フォルクスワーゲン)複合サイクル試験
  • GMW14872 (ゼネラルモーターズ)複合サイクル試験
  • 腐食劣化 シミュレーション
  • AAMA2605 屋外暴露試験・腐食試験方法
関連情報 Related information
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